無駄な深読み

ついったーに書ききれないことを書く、かも知れない

デュエマ3on3 for YAKINIKU

 

 この物語は、プライド(と焼肉)をかけた、男たちの戦いの記録である。

 

 

 

準備編

 時は2019年9月初頭、まだミッツァイルマスターズという競技名が存在せず、アナダムド一強だった時代に遡る。私はふとこう思ったのである。「いつも気軽にフリーデュエマをしている友人と緊張感のある本気のデュエマがしたい」と。

 いつも何回もCSの練習でフリーデュエマをしていた私と友人だったが、いつの日か相手のデッキを把握することによるマンネリが生じ、緊張感のない対戦を重ねるようになっていた。そんな日々を退屈に思った私は、もっとヒリヒリとした闘いを求めたのである。

 

友人との相談の結果(といいつつほぼ私の提案だったが)、焼肉をかけたデュエマ3on3を行うことが決定した。しかし私たちはただの3on3ではつまらないと思い、次の特別ルールを追加することにした。

 

『デッキ1つを相手と交換する』

 

それでは細かいルールを説明しよう。

  1. プレイヤーはそれぞれデッキを3個用意する
  2. 使用するデッキ名を公開する
  3. 相手のデッキから使用したいデッキを1つ、同時に指名する
  4. 自分のデッキ2つと相手のデッキ1つの使用順を決める
  5. 4で決めた順に3本勝負を3回行い、2回勝利した方が勝者である

 

ここで公開するデッキ名は「赤単ブランド」「ジョラゴンジョーカーズ」「黒単デスザーク」といったようにおおよそのコンセプトがわかればよく、タッチで入る色(ジョーカーズのマンハッタンによる赤など)は宣言不要とした。

 

 

 ルールが決定するや否や、私はこの対戦の対策を練り始めた。彼を知り己を知れば百戦危うからずという言葉の通り、まずは自分と相手の戦力の確認である。

 

この時私が所持していたデッキは以下の通りである。

  • 青魔導具
  • 黒単デスザーク
  • 黒単オーラ
  • 赤単ブランド
  • ガンバトラージョーカーズ
  • 赤ジョーカーズ

 

 次に、友人が所持しているデッキとその所感を以下に示す

  • チェイングラスパー ◎

友人のお気に入りであり最近も使ってる。最近私が使ってるオーラに対して有利。

  • グスタフループ ◯

私の使うデッキは99%盾を殴る上にぽくちんちんを持っていないことが知られているため、使ってきそう。

  • アナカラーデッドダムド △

強いデッキではあるが、私がよく使っていた青魔導具やオーラデッキに対しては相性が良くない。デスザークには有利かも。

メタカード大量で正直して欲しくないが、あんまり信頼してないのではないかと思われる。

  • ロージアダンテ △

遅めのコントロールはオーラ、魔道具に不利なので採用されづらい?

  • 裁きz △

カードが揃ってないって言っていたし、2ブロック構築をわざわざ使わないかなぁ。

  • ガンバトラージョーカーズ ◎

唯一定期的に使ってる速攻デッキ。意表をつくために出してくる可能性があり、コントロール中心に対応してるともちろん辛い。

  • 赤緑サンマックス ◎

最近組んだデッキ。直前のスカイプデュエマで私をボコボコにしたため使ってきそう。

 

単純に私のデッキに対する相性のみを考慮するならチェイングラスパー、ガンバトラージョーカーズ、赤緑サンマックス、グスタフループ、メタリカあたりが使ってきそうなデッキである。

 

これらのデッキを対策しようとした時、どのような策が考えられるだろうか。

一つは速攻で殴り切ることである。ジョーカーズ、サンマックス、メタリカはほぼトリガーが入っておらず、チェイングラスパーも回答になるトリガーは多くない。しかしグスタフループに対しては、ループの準備パーツから起動パーツに至るまでトリガーがついており、単純に殴るとカモになる可能性がある。

もう一つは踏み倒しメタである。ミスキュー、戒王の封、サンマックスの侵略に対して圧倒的なメタ性能を誇り、私のデッキに無理なく組み込めるカードが一枚だけあった。そう洗脳センノーである。

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それでは私が使用することにした3つのデッキを紹介しよう。

 

  • ガンバトラージョーカーズ

先程述べた洗脳センノーを無理なく搭載することができるデッキ。主人公種族であるジョーカーズを1ターンのうちに大量展開し、ガンバトラーG7とジョジョジョマキシマムを使って呪文を封じながら1ターンで勝負を決めるデッキである。

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  • 黒単デスザーク

魔導具という種族のクリーチャーを展開し、無月の門から圧倒的制圧力を持つデスザークを展開するコントロールデッキ。相手の速攻に対して圧倒的な強さを持つことと、選択する魔導具によって様々なデッキに対してメタを貼ることができることが採用理由である。友人のデッキにループ系が多かったため、今回はフィニッシュ手段として相手に依存しないユニバースを採用した。

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  • 青魔導具

卍月フィールドと呪文の魔導具を駆使し、追加ターンを取りつつクリーチャーを展開して圧倒的火力で制圧するデッキ。トリガーを多く採用することができるのと、それなりの速度で強い勝ち筋を相手に押し付けることができるのが強みである。

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次に考えたのが自分のデッキ対策である。

このルールではお互いにデッキを交換したあと対戦をする。相手に渡った自分のデッキと戦うのは、2/3の確率で残った自分のデッキである。つまり、何が来るかわからない相手のデッキの対策をするよりも、自分のデッキの対策をする方が容易なのである。ただしどのデッキを指名されるかをしっかりと当てないと自分が不利になる諸刃の剣となってしまう。

 

情報を整理しよう。私が使うデッキの一般的な相性は次の通りである。

 

ジョーカーズ<デスザーク<青魔導具

 

主な要因は青魔導具に採用されるトリガーの、ゴゴゴ超絶ラッシュである。

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この2枚の組み合わせで、相手のクリーチャーを全て破壊してしまうのである。盤面を並べるジョーカーズとデスザークは、これを一度撃たれるだけでかなり不利な状況になってしまう。

ジョーカーズは、ジョジョジョマキシマムでこのカードをケアすることはできるが、その場合別のカードが立ち塞がる。

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ジョジョジョマキシマムの性質上、ほぼ必ず相手の盾を全て同時にブレイクしてしまう。そうすればSST(スーパーシールドトリガー)が発動し、確実に1ターン稼がれ、次のターンに勝負を決められてしまうのである。新世壊の効果でジョジョジョマキシマムの呪文封じが無効化されてしまうことが相性のみ悪さの根底にある。

 

この力関係は友人も把握している。ならば一番勝率が高い青魔導具を交換で選択してくるはずだ。

 

そこで私は考えた。青魔導具を一番弱くすればいい、と。

 

青魔導具がこの3つのデッキの中で強いのは、ゴゴゴ超絶ラッシュというカードのおかげである。つまりこのカードを抜けば、勝率はトントンになる。

更に、ジョーカーズにはメメントモリ神宮、デスザークにはドゥスンを採用した。

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青魔導具は呪文をメインで使うデッキなため、ドゥスンが有効なのは想像に難くない。

 

メメントモリ神宮のメタ効果は、クリーチャーへのブロッカー付与ではなく、ターン開始時に使用できるDスイッチのタップ効果である。青魔導具はターン終了時にガリュミーズからメラヴォルカルを召喚し、お互いの盾を割り切ったところで追加ターンにとどめを刺す。その追加ターンの開始時にDスイッチでメラヴォルカルを全てタップしてしまえば青魔導具側は攻撃出来ず、盾を自ら割ってしまう性質上次のターンに相手にSA(スピードアタッカー)がいれば勝負が決まってしまう。青魔導具にもこのメメントモリ神宮を対策できるエアヴォというカードがあるが、もちろん今回はデッキに採用していない。

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そんなわけで、実際に用意したデッキの相性は次のようになった。

 

青魔導具<ジョーカーズ<デスザーク

 

これで青魔導具を選んだ友人をボコボコにする準備は整ったのである。

 

 

 

デッキ選択編

ついに対戦当日である。相手のデッキを予測し、自分のデッキを練り込んだ。負ける要素はどこにも見当たらないのである。なにせ焼肉がかかっているこの勝負、負けるわけにはいかない。

 

まずはお互いにデッキを公開する。

友人が用意したデッキは「赤緑サンマックス」、「アナカラーデッドダムド」、「チェイングラスパー」である。

 

赤緑サンマックスはマンガノキャッスルから自然の3コストクリーチャーをGR召喚し、サンマックスに侵略する速攻デッキである。デスザークは有利で、ジョーカーズはスピード勝負になるが、センノーを立てれば相手の攻撃力は半減する。

 

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アナカラーデッドダムドはどこからでも侵略できるデッドダムドで盤面を制圧するコントロールデッキである。こちらのオーラ、デスザーク等に不利なため採用されないと踏んでいたが、誤算だったようだ。しかし今回使うデッキならどれでも対応できるであろう。

 

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チェイングラスパーは、出したクリーチャーより2コスト小さいクリーチャーをマナから出すチェインレックスと、アタック時にマナからクリーチャーを出せるグレートグラスパーを使ったループデッキである。やはりセンノーが刺さりまくっている上、他の二つのデッキでもスピード勝負に持ち込める、それほど分の悪い賭けにはならなさそうだ。

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ちなみにメタリカは友人の中で二軍のイメージが強かったため採用せず、グスタフループは頭に浮かびさえしなかったらしい。俺の警戒を返せ!

 

さて、上記3つのうちどれを貰うかを考えよう。チェイングラスパーはどのデッキでも勝てる可能性があるし、何よりループがきちんと回せる自信がない。味方にするメリットが少なすぎるため却下。

デッドダムドはどうだろうか。これもどのデッキでも互角以上の戦いができるだろう。それにこれをもらったとして、サンマックスには速攻で押し切られそうで、盤面を展開しない(した時には勝負が決まっている)チェイングラスパーにも有利とは思えない。

サンマックスは、直前のフリーで良いようにされたこともあり、ちょっと不安が残る。スピードが速く、ジョーカーズ対面になってもセンノーが間に合わない可能性すらある。対面して勝てないのなら奪ってしまうのが道理である。よし、サンマックスをもらおう。

 

友人もどのデッキにするか決まったようで、お互いにせーので指名をする。

 

 

 

俺「サンマックスで!」

友人「黒単デスザークで!」

 

 

 

 

 

 

 

……は?

 

 

ちょっと待ってほしい。相手が持っているデッキを考えるとデスザーク(ユニバース型と友人は思っていない)はそれほど脅威ではないはずだ。チェイングラスパーにはハンデスでよっぽどのキーカードを落とさないと勝負にすらならず、全ハンデスが成功してもトップ解決されてしまう。サンマックスに対しても最速でデスザークを立てられればほぼ勝ちではあるが、五分五分といったところ。デッドダムドもユニバース型でないのなら、たとえ序盤にデスザークを出したとしても殴るとまでに時間がかかってしまい、vv8からデドダム3体で無理やり追加ターン取られて盤面取り返されることも十分に考えられる。こちらのデッキに対しては青魔導具には一般的には不利で、ジョーカーズに対してだけは有利対面といえる。

つまり、このデスザークが単純な黒単なら敵にして怖くないし、味方にしたところで恩恵が少ないデッキのはずである。ユニバース型なら少々事情は変わってくるのだが、このデスザークというデッキを扱って約2年、私は一度もユニバース型を使っていないし、なんならユニバースを持ってさえいなかった。

 

だが結果として最善の選択となってしまったことは否めない。賽は投げられたのだ。ある武器で戦う他にない。

結果として使うデッキは次のようになった。

 

  • 青魔導具
  • ガンバトラージョーカーズ
  • サンマックス

 

友人

  • 黒単デスザーク
  • アナカラーデッドダムド
  • チェイングラスパー

 

出す順番に意味はないとはいえ、何となく大将の位置にあたるところに自信のあるデッキを持って来たくなるのは人の性である。そしていきなりの初戦で相手のデッキを使うのは怖いだろう。となると友人は2戦目にデスザークを使ってくるのではないかと私は予想した。1戦目と3戦目は絞り切れない。

 

まずこちらのデッキで強いのはガンバトラージョーカーズである。デスザークには不利だが、他二つには十中八九勝てるだろう。サンマックスも同様に、デスザーク以外なら6:4くらいの勝率を出せるはずと踏んだ。デスザークはもう仕方がない。どれで相手をしてもおそらく負けるだろうと余った青魔導具を当てることにした。

 

結果、対戦の組み合わせが次のように決まった。

1戦目 ガンバトラージョーカーズvsチェイングラスパー

2戦目 青魔導具vsデスザーク

3戦目 サンマックスvsデッドダムド

 

不幸中の幸、対戦の組み合わせは狙い通りにいったようだ。

 

対戦編

  • 1戦目

今回1番自信のある対戦である。センノーがぶっ刺さり、ジョジョジョマキシマムもぶっ刺さる。正直一度や二度プレミしたところでまだ有利な対戦である。

対戦が始まった時は普段通りだった友人の表情が、センノーを出した途端絶望に変わる。そうだ、俺はその表情を見るためにここまで作戦を練ってきたんだ…!

 

センノーを出して2戦先取で余裕の一勝。さあここからが本番である。

 

  • 2戦目

さっきとは打って変わって絶望の対面である。何せ自分で青魔導具を弱体化させ、デスザークを青魔導具に勝てるよう特化チューニングしたのだから。本当に勝てるか何度も一人回しで手応えを確かめたのである。この対面は1:9で負ける。その確信があった。

そんな俺を煽るかのように、友人は「ヤバイ、デスザークで青魔導具に勝てるビジョンが見えない」とかいってやがる。何故それにデッキ選択の時に気がつかないのか。しかし今はハッタリでも何でも使うしかない。「デスザークを選んだ自分を恨むんだな」とか言いつつ僅かな勝機を探す。

 

実は青魔導具側にも勝てる目がほんの少しある。それは一人回しした時に気が付いてはいた。ユニバース型のデスザークの弱点として、ユニバースを場に出す前のターンに盤面にデスザークかガリュザークを並べておかないといけないことがある。それをカージグリで手札に戻すか、シュノドゥで攻撃出来なくしてしまえば、相手の勝利を遅らせることができるのだ。(進化しても攻撃出来ない状況が引き継がれるため、ユニバースのメテオバーンが発動できない)

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しかしそれも時間稼ぎにしかならず、勝率10%が20%になる程度のものである。多少の抵抗を見せるものの、ドゥリンリでそれ以上の時間を稼がれ、一本目を落とす。ネタが割れた二本目はもっと容易に破れ、相手に一勝を献上するのであった。

 

  • 3戦目

一勝一敗で迎えた3戦目、私の扱うサンマックスvs友人の扱うデッドダムド。今戦は先程は逆に、友人が知り尽くしているデッキ同士の戦いである。勝負の鍵は、サンマックス側の速攻が成功するかにかかっている。

 

一本目、先行を取った私は2ターン目ステップルからの3ターン目マンガノキャッスルで相手が盤面をとりに来る前に見事勝利。焼肉に王手をかけた。

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しかし二本目はマンガノキャッスルを引けずに弾けろバクチックのやや緩い展開。その間にデッドダムド侵略を許してしまい、デジラムカデに蓋をされて終了である。やはり速攻が成功しないと、厳しいものである。

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全てをかけた三本目、手札を見た瞬間私は絶望した。手札に火文明のカードしかないのだ。このデッキは赤緑サンマックスではなかったのか。これでは次のターンステップルを引いたところで文明が足りずブーストが出来ない。2ターン目にブーストが出来ないのはこの対面において致命的である。結局動けたのは4ターン目の弾けろバクチックというヒーロー顔負けの遅さである。ヒーローならそれで勝てても、私はヒーローではないのでしっかり負けて、その瞬間焼肉を奢ることが決定したのである。

 

 

対戦後

私「何でデスザーク選んだん?」

友人「コントロール系のデッキが使いたかったから」

                   完

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、友人は俺がデッドダムドのデッキを取ると予想して、BLACK BOX PACKのフェアリーライフを入れて動揺を誘うという斜め下の仕掛けをしていたらしい。知るかよ。

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